「今日は入学式ですね」
「うん。」
「清水学園、受験が大変だったんじゃないんですか?」
そう。
いくら勉強してても、塾に通ってても、私の頭じゃ清水学園はきつかった。でも、父は行けと行ったから死に物狂いで勉強をした。
「…まぁ…ね…」
言葉を濁しながら言えば、柴田の視線がバックミラー越しに見られるのがわかった。
視線を合わさず、窓の外を見る。
すると、ポンッと隣に本が置かれる。
「専務からです」
「……わかった」
いつも父は二週間に一度、本を私に必ず読ませて感想を聞く。
正直、困る。
こんなの。
だって、読み終わってもなんにも思わない。
読んででも何も思わないもの。
だから、小学校の頃から読書感想文はあとがきをあたかも自分が書いたように言い換えて提出している。
