「幸姫、また大豆を残されておるな」
「…お豆嫌い」
「幸、好き嫌いはよくないぞ」
「ほら幸姫…兄君は、きちんと好き嫌いせずに食されておりまする」
「兄上と比べないで!!」


頬を膨らませ、プイッと他所を向く幸姫。
いい歳して何やってるでござるかこの姫は。


「幸姫、違いまする。食材を残すのは、命を粗末にすることと同じでござるよ」
「…どうして?」


拙者は、この事にはまだ無知な幸姫に食の大切さ教えた。


「拙者達が口にするものは、全て命を持っていたもの。故に、残すのは命を捨てる…という意味でござる」
「大豆にも、命が…?」
「左様、この大豆は幸姫の血肉骨となり、健康的な生活を支えてくれる貴重な食材でござるよ」
「知らなかった…」


幸姫、理解してくれて良かった。
この事は、誰しもが忘れてはならない大切な教え…。

幸姫も、いつかお子が産まれし時は、語り継いで…。


「お墓…作らなきゃ!」
「は?」


いま、何と申された?
墓?一体何の墓でござる。


「大豆のお墓を作れば、命を粗末にしたことにならないよね♪」
「幸姫、拙者の話ちゃんと聞いてたでござるか?血肉骨になるって申したでござろう!?」
「だ、大豆が人間に…?」
「そんな恐ろしい大豆は聞いたことないでござるよ!!」

「お前達、静かに食えぬのか…」


どうしてそういう解釈になるのだ!
墓に埋める等、余計粗末でござるよ!


「食材は食べるもので、埋めるものではござらぬ!」
「じゃあどうすればいいのよー」
「食えば良かろう!?」

「今日も旨いなぁ、この大根」


幸姫は相当のうつけでござる!!