「まずは料理でござる。幸姫には初心者もびっくり、おにぎりを作って頂きまする」
「そ、それ位出来るわよ!もっと難しいのないの?」
「信用出来ぬからおにぎりでござるよ」


米を炊いて握るだけ。
たったこれだけの作業なら、幸姫にも出来よう。


「まずは米を炊いて頂きまする。やり方はまず…」
「知ってるから大丈夫!」
「あ、これ幸姫!」


全く…人の話をきちんと聞かねば、花嫁修行にならぬではないか。
心構えがまずなってござらぬ。


「…って、幸姫!何っ…ちょ、ちょっと待つでござる!!」
「何よ」

「その米はちゃんと洗ったでござるか?」
「お米って洗わなくちゃいけないの?」
「当たり前でござる!」


初歩的な所を忘れてどう致す!?
ろくに米も炊けぬとは、何も始められぬではござらぬか!


「ちゃんと洗ったでござるか?」
「洗ったから、そんなに確認しないでよ」


さっきまで生炊きしようとされた貴女が何を申すか。


「後は炊き上がるのを待ち、握るだけでござる」
「楽しみ~♪」





―――そして時は経ち、拙者は釜蓋を開けた。


「なっ…何でごるかこれは!?」
「えっ!?何、どうしたの!?」


米が…べちゃべちゃではござらぬか!!


「幸姫、一体どれだけ水を入れなされた!?」
「…い、いっぱい…?」
「……………」
「て、てへ☆」


この日、拙者達の食事がお粥になったのは、言うまでもござらぬ。