「だから、もういいの。
 大樹は私にとっては過去の人。
 私に恋の辛さを教えてくれた
 かけがえのない人なの。
 だからせめてお礼が言いたくて。
 紗枝・・・。
 ごめんね・・・。
 大樹と幸せになって。
 
 一緒にアメリカ行っておいで?」




「・・・・・ょ」

「えっ?」

「ダメだよ!
 それじゃあダメなの!
 大樹は優香しか見てないの!
 私は大樹に振られちゃったの。
 大樹と一緒にアメリカにはいけない。
 だから、優香が行ってよ!!
 優香と大樹が結ばれないと
 ダメなんだよ!!」

「そうだ・・・。
 優香は大樹先輩と
 一緒にいるべきだと思う」

「やめてよ・・・。
 私は、もういいんだよ?」

「よくねーだろ!
 ホントは今すぐにでも
 抱きしめてほしいくせに!

 優香!
 大樹先輩んとこ行って来い!」

「悠馬・・・」

「優香!
 私のことはいいから・・・。

 大樹をよろしくね」

「紗枝・・・」









しばらくしてタクシーが空港に着いた。


「優香!
 早くしないと間に合わねぇー!
 走るぞ!」

「うん」

私は走って大樹を探した。