「「み、美咲…」」

2人の声が重なり、目を向けられた少女。
“浅倉 美咲-アサクラ ミサキ-”生徒会長その人。

ミルキーブラウンの長い髪は腰まで伸びている。
瞳は綺麗な赤茶色。
そこには絶対的な優しさを思わせる。

「ところでりんちゃん、良い子はいて?」

“りんちゃん”と言うのは、美咲が花梨を呼ぶ呼び名である。

「微妙よ、もうちょっと見てみないとねぇ」

「分かったわ、リサーチよろしくね」

「イエッサー!!」

敬礼をした花梨に、湊は小さくため息をついた。

「花梨はともかく、美咲まで何を」

「良いのよ、ある程度の目星はついてるから」

「神無月さん…ですか?」

勘に近かったが、何となく聞いた。

「あら、よく分かったわね、湊もしっかり見てたんじゃないの
…と、先生からの頼まれ事忘れてたわ、また後でね」

「単に、書記の水無月さんから推薦だったのだけど…、言う機会を逸してしまった…」