「つばさくんは、何でお姉さんと一緒に暮らさないの?」
「俺の姉、結婚してるからな」
「ふーん」
一緒に暮らせばいいのにって思うけど、暮らしにくいのかな?
「何で両親いないの?」
「…」
あ、聞いちゃいけなかったかな?
「ごめん。なんでもないから」
「俺の親、俺を捨てたんだ。俺が小さい頃に」
「え?」
そんな悲しい出来事、あたしなんかに話していいのかな?
「だから、小さいときから姉とずっと一緒だった。俺、自分の名前嫌いなんだ」
「どうして?」
「親がつけた名前だから」
だからか…。
つばさくんがあたしに名前を教えなかった理由がわかった。
「つばさくんがその名前を嫌うなら、あたしが好きになるよ」
「え?」
「あたしがその名前好きになる」
「ありがとな」