「ねっ、カンナってさ、幼馴染いなかったっけ?」
「いるけど女の子だっつのっ。」
2年くらい前に他県に引っ越したけどさっ。
「えー、残念。」と言わんばかりに口を尖らせるアイ。
「あれ?
でも……カンナの隣の家って誰か先輩住んでなかったっけ?」
「ああ、伊崎先輩のこと?」
「あの人、幼馴染とかじゃないの?」
ちょっと目が輝くアイ。
「違うよ、2年前に引っ越してきたの。」
わたしの家も、その隣の家も一軒家。
ちなみにその伊崎先輩が来る前まで、わたしのさっき言ってた幼馴染が住んでいたんだけど、その子のお父さんの転勤が決まって、引っ越すことになった。
ちょうどそのタイミングで伊崎家がこっちに引っ越すことが決まっていたから、住んでいた一軒家を売り払って、今は伊崎家が住んでいるというわけだ。
「……伊崎先輩って、どんな人なん?」
「んとね……あんまり話したことないからよくわかんないけど……」
というか、引っ越して以来話したことないなぁ。
「なんかかっこいい感じの人だったかも?」
「それだぁぁぁあ!!!」
え。
いきなりどうしたんだアイさんは。
ちょっと興奮してるように見えるんだけど。
