アイは、「もったいない…」と浅いため息をついて、わたしのほうを向きなおした。
「カンナは彼氏とかほしくないの?」
……そりゃあ……
「ほ、ほしいけどぉ……」
好きな人がいないのに、その先のことなんて、無理あるじゃん。
「カンナ……今の時期に彼氏作らないで、いつ作るの!?」
「あ、あい?」
すごい剣幕ですけど、アイさん。
ってか怖いんですけど。
「高校で作れないで大学で作るとか、社会人になって作るとか…難しいんだからね!?」
なんか説得力すごいよ、アイ。
あと顔近いよ。
「高校生なんておいしい時代…おと少ししかないのよ!!!
この青春時代に恋愛しないだなんて、ショートケーキのイチゴを食べないくらいもったいないことなんだからね!?」
そ……そんなにもったいないことをしていたのか……!!←
「で……でも、好きな人の作り方が……」
「そんなの自分のタイプの人にアタックしていくうちにだんだん好きになってくもんだって!!」
……さすが肉食系女子。
てかアイってそうやって彼氏のこと落としたのか……
「タイプのひと、かぁ。」
「だれかいないの??」
ううーん。
急に言われてもなぁ…
「あ……さっき映画に出てた俳優さんとかかな」
あはっ、と冗談を言うわたしを見て、アイはまたため息をついた。
「…これじゃ一生独り身ね、カンナは。」
そこまで言うか。
「だって仕方ないじゃんよう。あながち嘘じゃないもーん。」
あの俳優さんかっこよかったのは事実じゃあ。
「……ん?ちょっと待てよ…」
いきなりアイは考えだした。
ろくなこと考えてない気がする。