「……ダレだ……?」
低めの、男の人の声。
たぶん、伊崎先輩だ。
インターホンを押してから、伊崎先輩がくるのが早すぎて、状況について行けなくて、わたしはインターホンの方を向いて、うつむいたままの状態だ。
端から見て変人ですね、はい。
「と、隣の家の、夏目栞那で…す」
「ああ…さっきのメールの夏目栞那女史か」
ん?
じょしってなんだろ?
女子ってこと?
「あ、はい」
「そうか……」
少しの沈黙。
とりあえず、先輩のほうに向きを直そう、うん。
わ、先輩足細っ。
ジーパン越しでもわかるくらいに。
そんなことを思ってる間、伊崎先輩は「黒髪…ニーソ…妹属性か…?」とかなんとかブツブツ言ってる。
先輩…わたしは一人っ子です。
そんなツッコミを入れていた時。
「栞那」
「はっいぃ!?」
いきなり名前で呼ぶもんだから、勢い余って上向いちゃったじゃん!
…と、そのとき、
伊崎先輩と、目が合った。
