それから私達はまた
いつものホテルへと行き着いた。
あなたは全く気づいてなかった。
自分の薬指に
指輪がないことを…
私はそっと自分のバッグから
あなたの指輪を取り出して
ぎゅっと握りしめた。
『早く気づいて…』
まるでそう言ってるみたいで
指輪がとても可哀相に見えた。
あなたは気づかないまま
いつもの様に
ネクタイを緩め
私を引き寄せて深く深く
絡み付く様なキスをした。
ベッドへと堕ちていく時も
私は左手にあなたの指輪を
きつく握りしめていた。
「どうした…?」
「…えっ?」
そんな私の異変に気づいたのか
あなたは愛撫の途中で
手を止めた。
「何で…泣いてんだよ」
あなたはそう言って
私の傍を少し離れた。
泣いてる…?
私、泣いてるの…?
自分では何の意識もなかったけど
確かに私の目からは
冷たいものが流れていた。

