音を立てて、口から零れる。

 眼から零れた、たくさんの涙。


 頬を、衣服を、部屋を、心を濡らし。


 いつしか、ここは海のよう。



『……会いたいよ』



 言葉を口にすると、自分の涙で水死してしまいそう。


 だから、想うだけ。


 願うだけ。



『会いたいよ、会いたいよ』



 貴方がドアを開けて、笑顔で私の名前を呼んでくれることを。

 ただ、待っている。


 貴方を想う。それだけで。



 私の心も、たくさんの哀しみに沈んでしまった。

 貴方に会いたいその、哀しさから。



 涙が零れ、ついには海となり、私の身体を沈ませる。






(もう、2日も貴方に会ってないよ…)
 ――08/02/26