「だから、それはね?」

「言い訳なんて聞きません、聞こえません」



 一言話すたびに、一歩また一歩と彼がにじり寄ってくる。

 よってくる、という事は私は逃げなければならないわけで。

 一歩、また一歩と後ずさる。



「ひ、人の談笑に口出ししないでよ!これじゃ、ただの懐の小さい男でしょ!」

「小さくて結構です、綾がわるいんだろ」

「いや! 私は悪くないね!」