斜陽と、それが射る廃墟じゃなければ。
それはとても、不自然ではなく、自然な日常として彼の内側に思い出として張り付いていたのに。
尻餅をつく形で倒れたまま、起き上がる事はできなかった。
彼女が、手に持っていた拳銃の銃口をこめかみにあてがっていたからだ。
「どんな魔法より、魔術より。現実の方が面白いんだけどね」
「まっ、何して」
「キミ、本当は僕がどうにかしてくれるって何処かで思ってたでしょ?」
「っ、」
図星だった彼は、何も言えないまま、彼女から視線を外した。
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