「ちょ、汐。まず涙ふけ、」



 持っていたハンカチをポケットからさっと出して、拭けというわりに半ば拭いてやる形で渡した。



「どうしたんだよ」
「将ちゃ・・・、うわぁーん」
「な、人の顔見て泣くのとか・・・酷くね?」
「だってだって、将ちゃんに貰ったアメ、なくしたー」



 たったそれだけで泣いていたのかと思うと、彼は呆れるしかなかった。
 大量生産のアメひとつなくしたくらいでなんでこんな…。