雨の日だからといって、どこかに出かけられないわけではない。
 行こうと思えば、傘をさして何処へでも行ける。


 何処にだって、いけるのに。


 ならば、彼女はどうしてここにいて、ゴロゴロとしているのだろう。
 どうして、俺は。彼女の事をじっと見ているだけなんだろう。


 それだけで、十分なはずなのに。
 何かが起こらないという事に対して、彼はふと疑問におもった。

 
 

 つまらないから、
 ひとりでもできる、ゴロゴロ寝転がるなんて。


 彼は、自分がいなくてもできる事をしている彼女に、なんとなく、腹が立ってきていた。

 自分からは、何も。
 しようとはしていなかったけれど。