ふわり、と視界をさえぎろうとした髪を、彼はすっと静かに彼女の耳にかけた。
 無言の彼女の頬が、見る見るうちに赤く染まっていく。


「ひぁっ?」


 彼はいつの間にか下からでて彼女をひょいと軽く抱き上げて、そっと横に座らせた。


「はい、おしまい」
「………なっ?」
「確かにね。俺映画見てなかったけど」


 彼女は、「やっぱり」と小さくむくれた。