「オマエ・・・唐突過ぎだ。何事も・・・」
「んんん?・・・・・・・・・分かった。」
「・・・本当に分かったのかよ・・・」
不信感一杯の沢渡先輩を余所に、百木先輩はニッコリ笑顔で振り向いた。
その向かう先は、先刻から厳めしい顔を更に厳めしく顰めているお父さん。
「ハジメマシテ。音羽高校、茶道部の部長を務めている百木と申します。今度の茶会に出す茶菓子を注文したいんですけど―――」
百木先輩のご実家が、由緒正しき茶道家だと言うのは有名な話。
おじい様が師範で、先輩はその影響を受けたようで。
ちなみにお父様は茶道とはまるで関わらなかったらしいけど、実業家として業績を伸ばしていてとにかくお金持ち。
先輩っておぼっちゃま、だ。
礼儀正しく挨拶する先輩。
お父さんと日にちや個数を確認している姿は意外にマトモ・・・。


