その楽しげな輪の中で、先輩が不意に顔を上げて、ぱぁっと笑顔を浮かべた。
「わぁ~い。あずきチャン、約束通りカップケーキもってきてくれたんだぁ~。」
・・・なんなの、それ。
なによ、それ。
輪を抜け出し、浮かれた足取りで近づいてくる先輩に、私は勢いよく身を翻した。
「あれ?それボクにくれるんじゃないの?」
無言でずんずん進む私を伺うように先輩が付いてくる。
「ねー、あずきちゃんってば。どーかしたの?」
悪びれないその態度に、言葉に、プチッと私の何かがキレた。
「・・・じゃん・・・」
「え?なぁに?」
「私のなんて、貰わなくたっていいじゃん!!先輩にはくれるヒト一杯いるんだからっ、
私のなんかなくったってイイでしょ!!」
叫んだら、鼻の奥がツンとして・・・
私は逃げるようにその場から走り去った。


