雪が降る

その男はしばらく険しい顔をしながら
電話の相手と話した後、

「俺、流空、椎名流空」

流空は少し笑った後

「じゃーな」

っと言って足早に去って行った。



その日から流空はコンビニに
来なくなった。

うざい奴が来なくなって
嬉しいはずなのに、私の心は
モヤモヤする。

流空が現れなくなった
その日から。



流空が現れなくなって
2ヶ月が過ぎた。

もう、12月。



いつものようにレジに立って
客もいない店内に流れる
誰の曲かも分からない歌を
髪をいじりながら聞いていた。

その時.....。

「おぃ!!!小林杏南、
  真面目に仕事しろ!!!」

ふと、顔を上げると自動ドアの前に
流空が立っていた。

「ッ.....」

「あ??何その顔」

おそらく私は
すごくまぬけな顔をしていたのだろう。

流空は笑いをこらえている。