―コンコン…
ノック音が聞こえる。
きっと看護婦さんだろう。
「どうぞ」
「こんにちは」
可愛らしい声が聞こえた。
見ると、私と同じ年くらいの女の子が立っていた。
「…お名前は?」
私はきょとんとしながら問いかけた。
「私は、平野 実羽(ヒラノ ミウ)っていいます」
女の子は透き通るような可愛い声で言った。
「私は、森杉 雫(モリスギ シズク)、よろしくね」
戸惑いを隠すように私は答えた。
「実羽ちゃんは、どうしてここに…?」
「私?私は、雫ちゃんに会いたくて」
「えっ…?」
一瞬、何言ってるのこの子と思いつつ、返事した。
「…そっか、雫ちゃんは覚えてないんだぁ」
「何のこと…?」
「…ううん!なんでもない!それより、あたしの病室は雫ちゃんの隣だからいつでも来てね!」
「あっ、うん!」


