その船は、どうやら海賊船のようだった。

ドクロの旗を掲げている。

恐ろしい・・・。

海賊は、きっと人魚の私を見つけたらすぐさま捕らえ、売ってしまうだろう。

人魚なんて、人間の世界では架空の生き物だろうから。

捕らえられた後のコトを考えると、身の毛がよだった。



きっと、もう家へも帰れない・・・。


私はそろそろ家に帰ることにした。

最近はここら辺でも船がよく行き交うようになったから、

一段と警戒しなくては・・・。

ここに来られなくなるのはイヤだから。


暗い海の底より、私は優しい光の差す地上の方が好き・・・。



そうして光を肌で感じてから、私は深い海の底へと戻っていった。