それから、頭の中で真っ白な世界にトリップすることがたびたびあった。


二日から三日に一回、多いときは一日に一回のペース。


その世界にいるのは決まってあたしと裕也だった。


これは何の世界なのか。


妄想? いや、あたしは現実主義だ。妄想なんか、普通の女の子の半分もしない。


じゃあ、何?


シチュエーションも毎回同じだった。


あたしの上に裕也がいる。たぶん、あたしが押し倒されている。


そこは音がない世界だ。裕也が首筋や鎖骨、胸のあたりに顔を埋める。それをやめさせようとあたしは口を開く。でも声が出ない。裕也の行為は進んでいく。


裕也とこんなことがあった記憶などない。触れるだけの軽いキス止まりだった。