急性大好き症候群

太一は簡単な二問は普通に解けたけど次の二問で躓いた。


「うーん……わかんねえ」


太一は頭を抱えて悩み込んでしまった。


「……太一」

「ん?」

「公式って覚えてる?」

「覚えてねえ」

「三角形の合同の条件は?」

「知らん」

「二等辺三角形の定義は?」

「二等辺三角形に定義なんてあんの?」


ああ、わかっちゃったよ、こいつの弱点。


「太一、教科書持ってこい」

「ここにあるけど」

「あんたはまず公式からだった」


あたしは教科書をめくって図形の公式が載っているページを問題集の上に置いた。


「公式は全部教科書に載ってる。まず太一はこの公式を覚えて問題を解くこと」

「え、公式って覚えるもんなの?」

「数学が嫌いな人って、数学は覚えるもんじゃないって根本的なとこから勘違いしてる場合が多いの。数学にも国語や英語と同じように必ず法則が存在するの。それを文字式で置き換えたのが公式。この問題はこの三つ目の公式が使えるから、この問題の数字を当て嵌めると……」

「あ、解けた」

「太一は根本的なとこから勘違いしてたんだね。数学も暗記教科なんだよ」


うわっ、すげえ。解けたー!とはしゃぐ太一を見て、あたしは笑った。