急性大好き症候群

「エロ本隠してるとでも思った?」


太一が二つのグラスを持ちながら入ってきた。


「思った」

「ベッドの下とかバレバレでしょ。もっと見られないとこに隠すよ」

「残念。太一の弱み握られると思ったのに」

「やめて、それ。ただでさえ年下なのに、これ以上上から見られたくない」

「別に見てないよ、上からなんて。気にしてんの?」

「そりゃあ、一応教えてもらう身だしね」

「その割には随分生意気だと思うけど」


普通に呼び捨てだよね、あたしのこと。


しかも最初からだったし。


「嫌なの?」


太一が隣に座って小首を傾げる。


「……嫌ではないけど」


あたしは彼から目線を逸らした。


なんだか心臓がドキドキして、頬が熱くなるのを感じる。


指摘されたら「まだ暑い」と言い訳しておこう。ていうか、そういうことにしておこう。


今のけっこうきた。


すごい可愛かったよ、今。


甘えてきたというか、ちょっと拗ねたというか。


年下っていう武器を見せつけられた気がする……。