急性大好き症候群

「た、太一?」

「俺に数学を教えてください」

「は?」

「唯織の高校、大岩田高校だよな」

「なんで……あ、制服か」


今日は私服だけど、何回か制服姿で太一と会っていたね。


あたしが通う高校は、地元ではそこそこ名の知れている。


近いしレベルも決して低い方ではないから、地元の人がけっこう進学してくる。


「俺、数学がすげえ苦手で。この間の中間テストは43点でした」

「それは勉強してないからでは?」

「他は80点、90点普通にとるよ」

「普通はちょっと余計だけど」

「だから教えてくんね? 夏休みの間だけでもいいから」

「あたしだって部活が……」

「教えてくれたら、お礼にアイス奢る」

「うう、この時期にアイスで釣ってくるとは……」

「俺、大岩田高校目指してんだよ」

「あ、まじで。でも空手部はないよ」

「高校ではバドやろうと思ってる」

「あたしバレー部」

「関係なかった情報だね」


太一がくくっと笑う。あたしもつられて笑った。