急性大好き症候群

「好き……」


心臓がばくばくして、やっと口から漏れた声は板垣くんには聞こえなかったのかもしれない。


二人しかいないこの教室にすら響かない、あたしの声。


思わず唇を噛みしめていた。


離れたい。


でも、離れたくない。


好きな人がすぐそばにいるのに、どうして離れようなんて思うだろうか。


「板垣くん……」


ゆっくりと顔をあげると、そこには何の表情も表さない板垣くんの顔が見えた。


今何をどう思っているのか、さっぱり読めなかった。


「……俺も」


聞こえてきたのは、板垣くんのいつもより何倍も低い声だった。


耳に板垣くんの息がかかる。


「あ、あの……」


熱い息が頬へ移動する。


あたしは、ぎゅっと目をつぶった。