「マジムカつく。なんなのあの女」


次の日になっても、美紗の機嫌は直らない。


「美紗、しつこい……」

「だって、唯織もムカつかなかった!? あんなイケメンを自分のものです、なんて顔してさ。しかも『彼女』を強調だって。一瞬でこいつとは合わないって悟ったわね。信じらんない」

「イケメンだから、自分のものだって強調したかったんじゃないの?」

「唯織、随分冷静ね。あんた同類?」

「ムカついたから、あの子の手、強く握り返してやったんだけど」

「唯織、あんた笑顔で恐ろしいことやめなよ……」

「ん~、でもあたしの皮肉には反応しなくて、端(はな)から敵視された感じだね~」


麻尋ちゃんは、あたしの皮肉に全く反応しなかった。むしろ、あたしが微笑を見せつけられた。


あれは勝ち誇った気になった笑顔だ。


なのに、どうしてあんなことをする?