「ねえ唯織、この人知り合い?」


美紗が目をキラキラさせながら問うてきた。


線の細いイケメンは、美紗の大好物だ。


「まあ……ね」


昨日会ったばかりのね……。


声に出さずにつぶやいた。


「太一、高校生に知り合いいたの?」


今度は太一くんの隣の女の子が、怪訝そうな顔で太一くんの腕をつかんだ。


女の中でも小さい方で、美人というよりは可愛い雰囲気の子だ。


太一くんがため息を吐く。


「昨日不良たちに襲われそうになったのを助けてやったんだよ」

「えー!! 唯織ってば、こんなイケメンに助けてもらったのお~!?」


美紗の目が更に輝く。


昨日の出来事は朝に話していたけど。


「美紗、大袈裟だから。追い払ってもらっただけだから」

「単純な不良でよかったよねえ。じゃなきゃ唯織は今頃どうなっていたかねえ~」

「美紗、あんた何が言いたいの? イケメンの前だからって調子乗り過ぎ。後ろから蹴っ飛ばすよ」

「うわっ、唯織は機嫌が悪くて凶暴になってる。えと、太一くん? 私、唯織の友人の佐野美紗です」

「あ、どうも」


美紗は太一くんと握手しただけで頬が紅潮していた。