急性大好き症候群

あたしはその時期、常に泣いていた。


勤務先である保育園は割と家から近いけど、あたしは一人暮らしを選んだ。


家を探し、引っ越しの準備をする以外はいつも太一を思い出しては泣いた。


なぜ太一でなくてはならないのか。


なんでこんなに太一を思い出して泣かなくてはならないのか。


叶わない恋心を嘆くとともに、自分の中の執着心を恥じた。


彼氏に捨てられた時に優しくしてもらっただけなのに。相手には一番に思う女の子がいるのに。


なんで太一じゃなきゃいけないんだろう。


口説いてくれた男がいなかったわけじゃない。付き合ってくれと言ってくれた男がいなかったわけじゃない。


でもあたしはそれを頑なに拒んだ。


あたしには太一がいればいいんだと思い込んで断り続けた。


なんであたしは太一に執着するんだろう。


叶わないとわかっているからこそ、より執着するものなのだろうか。


こんなの、酷すぎる。


そして、そうわかっていながらも、あたしはわずかな希望を捨てられなかった。