急性大好き症候群

ばかだと思った。


二年間もセフレをしてきて何をしていたのだと。


あたしは太一の考えていることなどほとんど知らない。


ただ一つ言えることは、太一はこの二年間ただひたすら麻尋ちゃんを思っていたということ。


それが愛情なのか執着心なのかはわからないけど、あたしと麻尋ちゃんを重ねてずっと抱いていたことは事実だ。


ただひたすら思ってきたのはあたしも同じだった。


ただ、こちらは一度も振り向いてくれなかった。


振り向いたと思ってもその先には必ず麻尋ちゃんを見ている。


抱いているときにあたしの名前を呼んでくれたことが何度あっただろうか。


あたしはこの二年間何をしていたんだろう。


振り向いてくれることを夢見て、抱かれただけで何を舞い上がっていたのだろう。


そして、最後も結局夢を見た。


ありえないとわかっていながら、あえて太一にあたしという選択肢を与えた。


麻尋ちゃんを選ぶことは目に見えているのに。


それでも、もしかしたらと夢を見たかった。