「唯織」


呼ばれた気がした。


太一……?


目を開けると、最近すっかり見慣れた天井が目に入った。


またか。


本当はあたしが止めなきゃならないってわかっているんだけどな。


ダメなんだ。こんな関係。


太一と事を終えた後、目が覚めると毎回同じことを考えている。


止めなきゃならないのに…………。


あたしは太一に弱い。言い訳だけど、あたしは太一に迫られると抵抗できない。


ただでさえ太一は運動しているから、力じゃ絶対に敵わない。


…………なんて、ズルズルと太一との関係を断ち切れない言い訳を考えるあたしは何をしているんだか。


横を見ると、太一はいなかった。


珍しい。


いつもあたしが先に目覚めるのに。


寂しいと思った。


さっきまで太一が寝ていたであろうシーツを撫でる。


ばかみたい。


太一があたしを見てくれることはないってのに。


『唯織の気持ちも知ってるのに…………』


あれはどういうことなのだろう。