急性大好き症候群

「やられた」


太一は一言そう言って、あたしがあげたチョコを口に放った。


「見ちゃった……麻尋が弘樹に抱かれてるの」


太一の顔が歪められる。


「最後までは見てないけど、麻尋が押し倒されて、弘樹が麻尋に覆いかぶさるとこ…………。俺が彼氏なのに止められなかった。何も言えずに、逃げてきた」


あたしは何も言えずに、太一の横に座った。


「それ……ほんとに全部やったの?」

「俺……隣の部屋に逃げたんだ、麻尋の部屋の。そこでずっと聞いてた。麻尋の……その、声とか……弘樹の声とか聞いてたけど、たぶん最後まで……」

「…………」


絶句だった。


「ひ、弘樹、童貞じゃなかったんだ……」


わざと話を逸らす。


「ああ、弘樹は前の彼女でやってるから」

「ふうん……」


やっぱりそういうことは友達の方が知ってるのか。


まあ、あの弘樹がそんなこといちいち報告するわけがないけど。


「まじ……なんなんだよ」


いつかのときのように、太一は声を震わせていた。