急性大好き症候群

「……唯織」


太一の声が掠れて、あたしは太一の胸に顔を押し付けた。


「俺……どうしたらいい?」


そんなの、あたしに聞かれてもわからない。


あたしだって、裕也とやってたときはずっと痛かったし、もしかしてあたしも……とか思ったけど、この二人とはわけが違う。


太一と麻尋ちゃんは、お互いを思い合っている。


周りが羨むくらいお互いが好きで、たぶんこれから離れることはないんじゃないかと思うくらい。


それなのに、大好きな人に抱かれても感じることができない。麻尋ちゃんの苦しみはあたしには想像もできない。


それをわかってしまった太一にかけてあげる言葉も見つからない。


あたしはどうすればいいのかわからない。


その時、太股に違和感を覚えた。


「……え」


太一の指が、太股を撫でていた。


そう自覚したとたん、太一の指が触れている足がビクッと震えた。


「何、して……」


頭が真っ白になる。


太一は何も言わない。熱い吐息をあたしの耳にかけて、涙をあたしの肩に落としながら、あたしの足をなぞる。


その指が少しずつ上に上がっていくのを感じた。


「太一……ダメっ」


必死に抵抗しようと足を動かしたら、後ろの何かに踵をぶつけてそのまま後ろに倒れた。


「わっ……!」