急性大好き症候群

「チャーンス、トス、それー!」


コートにボールが跳ねる。


そう。あたしはバレー部。


後輩がトスしたボールを、あたしがスパイクをする。


「っしゃあ、決まった!」


思わず自分でガッツポーズ。


「唯織、相変わらず絶好調ね……」

「うち、たまに唯織にバレーの神様が降臨してんじゃないかって思う……」

「同感」

「やだ~。みんな、そんな褒めたって何も出ないって~!」

「いてっ!」


照れ隠しで、近くにいた佳央の背中をバシッと叩いたら、意外に痛かったらしい。


佳央が背中をさする。


「次、サーブレシーブ!」


部長の声が響き、二年生六人がボールを持って次々にサーブを放っていく。


「裕也くん、また浮気ですかあ~?」


サーブを打っていない人たちで話し始めた。


「今日はパソコン部の飯田さんと帰って行きました~」

「ああ、あの子。裕也くんはまた部活サボり?」

「だと思う~。CD借りるために飯田さん家に行ったらしいよ~」

「はあ。飯田さん家のCDをねえ」

「バレバレ。何考えてるか、うちでもわかる」

「裕也くんも分かってて着いて行ったんでしょ?サイテー」

「サイテー……だね」

「やっぱり別れた方がいいって、唯織」


結局みんなにこう言われるんだよね……。