急性大好き症候群

初めてのときはまだよかった。


あたしが初めてとわかっていた裕也の扱いは慈しむような行為で。


この時は幸せだと思った。


この裕也が豹変したのはそれから間もなく。


再び裕也の家に遊びに行った時のこと。


あたしが裕也の部屋に入るや否や、裕也があたしを扉に押し付けて求めてきたのだ。


「ちょっ……裕也、何!?」

「ごめん、止まんない……」

「やだ、やめてよっ……」


次の瞬間、乾いた音が部屋に響く。


「俺のこと、好きじゃねえの?」


裕也がすごい形相であたしを見てきた。


そして時間差で痛んでくる右の頬。


……殴られた?


「俺のこと好きなら、受け入れろよ」


初めて目の前の男が怖いと思った。


恐怖で硬直するあたしの体を裕也が貪る。


なにもかもが初めてだったから、何が正しくて何が間違っているのかわからない。


裕也を拒んではいけないのか。


そしてあたしはこの日、抵抗も何もせずに裕也を受け入れた。


しかしこれは始まりでしかなく、こういったことがそれから何度も続いた。