急性大好き症候群

「話ってなんだよ、今更」


それから五分後、あたしの目の前にいるのは不機嫌な『今』の彼氏、裕也。


「まあ、すぐに『元』彼にしてやるから」


にっこりと笑いかけると、裕也が舌打ちする。


「唯織ってさ、意外にやるんだな」

「どういうこと?」


椅子に座って足と腕を組む裕也は、あたしを睨みつけている。


「前は俺が少し強く言えば黙る奴だったのに。つまんねえの」


怒りを露にしている時、人は本性を出しやすい。


つまり、裕也は、


「『彼女』っていうストラップが欲しかっただけでしょ」


核心を突かれ、黙り込む裕也。


「それも、自分に惚れてて、気弱で、あまり執着し過ぎない『彼女』。そんな女が彼女だったら、堂々と浮気できるしね」

「まあ、一つ修正がある」


追い詰めているのはこっちなのに、ずいぶんと涼しい顔でいれるものだ。


「俺は好意のある奴しか彼女にしない。つまり、もともとは唯織が好きだったし、浮気しようと思って付き合ったわけじゃない」

「結果論としては、あたしはそういう彼女だったわけでしょ。過程なんかどうだっていい。浮気されたことには変わりない」

「浮気も、唯織と相性が悪かったから」

「それ、理由になってないから」

「繋ぎとめておきたかった。相性が悪くても、唯織とまたやりたいって気持ちはあったから」

「くだらない。それをあたしのためとか言うんでしょ。ばっかじゃないの」


そう吐き捨てるしかない。


呆れるしかない。


裕也の言葉と、真っ白な世界を見ていた答え。


あたしと裕也には、体の関係があった。