急性大好き症候群

あたしは目をつぶって片手で頭を押さえた。


くそっ……こんな時に。


「……唯織?」


美紗の声が遠く感じる。


例えるなら、貧血の症状。


目の前が真っ白になって、気持ち悪くなる。立っていられない。


でもこれは貧血などでは決してない。


あたしと裕也だけの世界だ。


『やめて、裕也っ!』


…………え?


いつものように、その世界には裕也と、裕也に押し倒されたのであろうあたし。


あたしが裕也を見上げる形。


あたしの首筋に顔を埋めて、裕也の唇が肌に吸い付く。


『やだ……っ、裕也』

『俺が好きなんでしょ? じゃあ……受け入れてよ』


この世界にはないはずの音が、声が聞こえる。


何これ?


真っ白な世界で見るものはいつも同じだった。あたしが裕也に襲われる。首筋にキスをされて、胸に顔を埋められて、行為が進められていく。


リアルな夢を見ているかのように、その世界には触覚が感じられた。見えなくても、裕也があたしのどこに触れているのかわかってしまう。


声が聞こえると、襲われるのもこんなにリアルに感じるのか。


「唯織、ちょっと、どうしたのよ!?」


美紗の声が耳元で響く。肩が揺さぶられている。