急性大好き症候群

美紗の言葉を信じることは裏切られた今、すべきことではないのかもしれない。


でも、あたしは美紗の親友だ。それは今も変わらないし、あたしが美紗の言葉を信じなくて誰が信じるのだ。


何より、あたしは親友の言葉を信じたかったのだ。


それでも、あたしの中に芽生えた覚悟にも似た自棄は、信じるものかと断固として意志を曲げない。


裏切られたのだから、こちらはもう信じる必要はない。


信じてはならない。


美紗の言葉も。裕也の言葉も。


裏切られたのだ。この言葉も迂闊に信じてはならない。


「最初はメールだけのやり取りだった。唯織のそばで裕也を見てきたから、警戒はしていた。でも、二人きりで会おうって言われて。唯織が言ったように、裕也は私が好きなことをわかってたんだと思う。それが夏休みに入った頃で、それで……」

「夏祭りにあたしに内緒で会ったわけか」


それならば、あの時の美紗の説明もつく。


地元の祭りにわざわざ着て行った浴衣も、裕也に会うためだったからだ。


同じ女として、好きな人の前で可愛くいたいのは当然だし、理解できる。