急性大好き症候群

「……本気?」

「唯織、恋愛に対してここ半年、本気出してなかったじゃない」

「…………」

「そして私に対しても」


やっぱり美紗は親友だ。


全部バレバレだった。


「ここまでしなきゃ動かない唯織も、相当なばかね」

「じゃあ、裕也のことも、部活をやめたことも、あたしにこうすることを仕向けるため?」

「休むだけじゃわからなかったらしいからね。だからやめたのよ」

「違う。裕也のことはあたしのためだけじゃない」


あたしが意義を唱えると、美紗はふと口をつぐんだ。


今まで逃げていたけど、観察はしていた。


逃亡癖のあるあたしができた、唯一のことだった。


「美紗は裕也が好きなんでしょ?」

「……何言ってんの」

「裕也は自分のこと好きな女はすぐわかる。事実、裕也と浮気してきた女子はみんな裕也に対して好意剥き出しで近づいていった。裕也がその子達を女扱いするのもそのため。……だから」


美紗がふう、とため息をつく。


「裕也が唯織と付き合ってから浮気した女って、何人だったっけ?」

「六人」

「さすが、私と話しながらもずっと裕也を観察してきたことはあるわね」


やれやれと、美紗はあたしに呆れているようだった。