「ちょ…心愛!早いっ!」

「あんたが準備に時間かけたうえに、花ばっか見てるからでしょ!入学式早々遅刻なんて嫌よ!」


小学生の時から友達の篠崎 心愛(しのざき ここあ)。

面倒見がよく、お姉さん的な感じ。
昔からよく迷惑かけたなぁ…


「あとちょっと!!頑張れ一花!」
「うっ…キャアアアァァ…」


入学式で賑わう校門の前で、すごい勢いでずっこけた。

恥ずかしさと痛みで中々立ち上がれない…

さすがの心愛も苦笑いしている。

ずっとこの場に倒れているわけにもいかないし… けど、回りの笑い声が耳に響いて恥ずかしさが増して、どうしようもない。

校門の前で色々考えながら倒れていると、頭の上から男の声がした。


「大丈夫?」


その言葉に顔をあげると、王子様が立っていた。


「…おう…じ…?」
「は?」

口からでた言葉に、眉間にシワを寄せる王子。

「あっ、いえ!なんでもないです!大丈夫です!」

パッと立ち上がり去ろうとすると、腕を捕まれ引き留められた。

何この展開!!?
まるでシンデレラのような展開に驚いていると

「足…怪我してるけど?保健室行こう」

「えっ!!えぇ!?」

そのまま手を引っ張られて、学校の中へ入った。

心愛は驚いたまま固まっている