「敦也、帰ろ。はやくしないと置いてくよ」
「優香待てよ」
滝本敦也。笹本優香。
小学4年生。
「もう遅いよ」
「ごめんごめん」
学校の帰りはいつも一緒に帰る。
それが当たり前。
家が隣同士で、親も仲良く、小さいときからよく遊んでいる。
俺たちは幼なじみ。
俺は小さいときからずっと優香が好き。
でも優香の気持ちは知らない。
優香とは、恋ばななんて一度もしたことない。
俺の恋愛には興味がないのだろう。
でも、一度だけ、恋ばなっぽい話はしたことがある。
「優香の将来の夢は?」
「素敵なお嫁さん」
「誰の?」
「それは秘密」
俺が口軽いからか、優香は教えてくれなかった。

