「ご飯食べに行こっ」と言う志穂に
連れていかれた店にいたのが、
渉(わたる)くんと森川くんだった。

驚く私に志穂が
「合コンだよ」と耳打ちした。

「合コンって言っても・・・・
渉くんはダメだからね。」


渉くんは志穂と、去年の秋に知り合って
クリスマスでいい感じになって
今では彼氏といっていい存在になっていのだ。

「だから・・・ほとんど瞳子の
お・見・合・い・・・・」


初めからそう言ってくれていれば
来なかったのに。
男の子が苦手なこと知ってるくせに。


志穂にそう言うと
だから、内緒にしたんじゃないって
言われることはわかってる。



そんな私の気持ちなんかおかまいなしに
志穂と渉くんはハイテンションで
森川くんに私のことを紹介しはじめた。


「こちら、南田瞳子さん。
とっても真面目なお嬢だから、
森川くんよろしくね。」


私は恥ずかしくて、ずっと下を向いていた。


みんなでパスタやピザやサラダを注文して
分け合って食べていたけど、
緊張してほとんど食べられなかった。



「森川、瞳子ちゃん送ってやれよ、
俺たちは次、行くから。」


渉くんがそう言うと、
志穂は私に目配せをしたあと
「バイバイ」とあっけなく
行ってしまった。



二人で帰れ、と言われても・・・・



そんな私の手をひっぱって
知らないうちにレジを済ませた森川くんが
「行くぞ。」と言った。


手を握られたまま
駅に向かう。