私は
朝練で早朝に出て行く未来の
お弁当の下ごしらえなどを済ませてから、
お風呂に入った。
夕方から急に忙しく動き回ったせいか
とても疲れていて
いつもより長めに湯船につかっていた。
リビングに戻ってからもしばらく動けず、
見ていないテレビを点けたまま
ぼーっと座っていた。
「瞳子」
「あら、あなた。」
もうとっくに眠ったのかと思ってたわ。」
「瞳子、おいで。」
夫が寝室にうながす。
夫を拒んだことはない。
夫のことが嫌いなわけでは
決してないから。
むしろ
そのときだけ
夫を愛しているのかもしれない。
ふたり重なり合っているとき、
彼は、私のことだけを見つめてくれている。
抱きしめてほしい。
ずっと見つめていてほしい。
私のことが
愛しくてたまらないという目で
しぐさで
ことばで
私の全部を愛してほしい。
けれども
それが終わって、夫の体が離れると、
たった今、つかんだ私の欲しかったものが
するりと両手の中から
逃げてしまったかのような気になって
前よりももっと
夫が遠くなる。
そんな想いを
幾度あじわっただろう。
朝練で早朝に出て行く未来の
お弁当の下ごしらえなどを済ませてから、
お風呂に入った。
夕方から急に忙しく動き回ったせいか
とても疲れていて
いつもより長めに湯船につかっていた。
リビングに戻ってからもしばらく動けず、
見ていないテレビを点けたまま
ぼーっと座っていた。
「瞳子」
「あら、あなた。」
もうとっくに眠ったのかと思ってたわ。」
「瞳子、おいで。」
夫が寝室にうながす。
夫を拒んだことはない。
夫のことが嫌いなわけでは
決してないから。
むしろ
そのときだけ
夫を愛しているのかもしれない。
ふたり重なり合っているとき、
彼は、私のことだけを見つめてくれている。
抱きしめてほしい。
ずっと見つめていてほしい。
私のことが
愛しくてたまらないという目で
しぐさで
ことばで
私の全部を愛してほしい。
けれども
それが終わって、夫の体が離れると、
たった今、つかんだ私の欲しかったものが
するりと両手の中から
逃げてしまったかのような気になって
前よりももっと
夫が遠くなる。
そんな想いを
幾度あじわっただろう。
