あの頃、テレフォンボックスで

「私に隠そうとしても
無駄だからね?
瞳子、何年付き合ってると
思ってるのよ?」


「そう言うと思った。」


すかさず志穂が
二人分のコーヒーのおかわりを入れに
席を立った。


コーヒーはおかわり自由だけど
二杯目からはセルフサービスになっていた。


「で?どうしたって?」


志穂の尋問が始まった。
もう逃げられない。


いいえ、聞いてほしかった。
誰かに、ずっと。

何か言ってほしかった。
志穂に。

これから私が
どうすればいいのか。



「好きな人ができて。

相手も私のこと好きでいてくれて。


こんな風に想うのは初めてなの。
会いたい、会って話したい。
会って見つめていたい。

会って、抱きしめてほしい。


もうどうしようもなくて・・・・



こんなとき・・・

どうすればいいんだったっけ?」