その店のガレージは小さくて、
一台分のスペースも狭い。


「どうしよう?
うまく入れられるかしら?」


「焦らないで、ゆっくりでいいから。」

後部座席から身を乗り出してケイタが言う。


「それにしても、
トーコさんが運転する車とは
思えないような大きさだもんな、この車。」



本当にそうだ。

この車を買った4年前は・・・
まだ未来も小学生だった。


海や山や・・・
いろんなところへ出かけるつもりで
この大きなSUVを買ったのに、
家族でそんなところへ
出かけたことは一度もない。


夫は海外へ行くことが多くなり、
中学生となった未来は
私たちとは
出かけなくなってしまったのだ。



私たち家族の幻影を乗せたまま
車だけが残ったようなもの。



「町乗り用に、
買い換えるべきかもね。」


「来年になったら俺が免許とって
トーコさんを乗せてあげられるんだけどな。」



来年?

私たちの来年なんて・・・・



ケイタ、


私たちには、


今しかないのよ。