だけど、おかしな点がひとつ。


「…ヨシヤ、もういいってば。」



ヨシヤがいつまでも私の頭を撫でるのをやめない…。
ふわふわと軽く撫でるだけだった手つきも、だんだん纏わり付くような手つきに変わって…。

いつの間にか、頭を触っていたはずの手は、私のほっぺを包み込んでいた。


「…っ!」


「ですが、分かってくださいね。僕は本当はきみを帰したくなんかないんです。

…名前の支配のおかげでいつでも豊花ちゃんを喚び寄せることができる…。
でも、本当はずうっと傍に置いておきたい。」


ヨシヤの顔が近づく。
不覚にも動揺して、私は顔を真っ赤にするけど…、


でも見てしまった。ヨシヤの目を。



ぎらぎらとして、大好物を目の前に必死に我慢してる野獣みたいな目を。