初めは私も少し怖かったけど、誰も見たことのない未知との遭遇ができたら、楽しいかもしれない。
珍しく拓くんの提案に賛成して、夏休み最初の土曜日の夜中、私たちはアンダーサイカにやって来た。
それが、つい1時間ほど前。
「はい、着いた。」
薬局の看板を真下から照らして、私は言う。
結局ここまで歩いてきたけど、怪しいものや人の気配はまるで無かった。
やっぱりここはもう無人なんだ。
何も無いと分かると、さっきまであんなにビクビクしていた拓くんもガックリと肩を落として。
「なぁんだ…、やっぱガセかよ…。」
「やっぱ…って。拓くんが一番信じてたでしょ。」
「何も無いと分かると、ちょっと冷静になるんだよ…。」



