でも、ここまできたらもう引かない。


「うん。約束する。」


私はキッパリと告げた。

ふっと、ヨシヤが嬉しそうに微笑む。


「良い子ですね、豊花ちゃん。」



ヨシヤの指先が器用に瓶の蓋を押し開けた。ポンッと小さな音がする。

それを、そっと私の口の中に挿し入れて、

一滴だけ垂らした。



――ごくり


「………っ。」


たった一滴なのに口の中に苦みが広がった。

じんわりと体の中に染み渡るのが分かる。これはやっぱりただの薬じゃない。


ヨシヤを見上げれば、彼は笑顔のまま私を見続けていた。
珍しい動物でも見るような……なんていうか、失礼な目だ。