あっという間にやって来て、あっという間にいなくなっちゃった。
なんだか想像していたお店屋さんと違う。
私の想像では、店主とお客さんはもっと楽しく親しげにお喋りをして、帰る頃にはお得意さんくらい仲良くなって…。
「…って、お店屋さんごっこと本物は違うよね。」
自分でも少しがっかりな声を出してると気づいた。
その呟きに、ヨシヤがこちらに体を向けて答える。
お客さんはいないのに姿勢はしっかりしていて、例えるならマネキンみたいだ。
「ええ、僕達は毎日こういう生活を送っているんです。
日々やって来る様々なお客様方と、ひたすらに商売をする僕達。それだけの関係です。
表面上は丁寧な態度を取っていても、お客様と深く関わるつもりはありませんし、そもそも許されないでしょう…。
………でも、」
ふっと、ヨシヤの声色が柔らかくなった。



