「…ゆ、豊花(ゆたか)!黙らないでよ、怖いでしょ…!」
「え?あぁ、ごめん。」
潤ちゃんが急に振り返ったから、私は自然と足を止めてしまった。
懐中電灯で照らしてみると、なんだか涙目になっている潤ちゃんと目が合った。
そんなに怖いだろうか。何か出て来たならともかく、歩いても歩いても何も出て来ないんだから怖がる意味が分からない。
「ねえ、何も無いみたいだしそろそろ帰らない?
私お腹空いちゃった。」
そう訴えながら、私は今にも鳴りそうなお腹を押さえる。
反応したのは意外にも、明らかに一番怖がっている拓くんだ。
「…な、なんだよ豊花、6年生のくせに怖いのかっ?」
「そっちこそ怖がってるじゃない。6年生のくせに。」
拓くんのいる方向を照らす。
私よりいくらか背の高い拓くんは、
「…………。」
膝をガクガクいわせ、震えていた。



